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御岳山天空縁日

御岳山の歴史と伝統文化を知る

青梅市にそびえる標高929mの御岳山は、初心者でも手軽に楽しめるハイキングスポットです。山岳信仰の霊山として発展した御岳山の歴史や伝統文化とともに、登山後の楽しみ方をご紹介します。

※「御岳山天空縁日」の地域コラムです。本イベントは、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止になりました。

ロックガーデンと呼ばれる沢沿いを歩けるハイキングコース
ロックガーデンと呼ばれる沢沿いを歩けるハイキングコース

武蔵御嶽神社と宿坊

〜山岳信仰の象徴〜

秩父多摩甲斐国立公園の玄関口にあたる御岳山。貴重な植物の宝庫であり、山野草のレンゲショウマが自生する日本随一の群生地としても知られています。そんな豊かな自然が広がる御岳山山頂に鎮座するのが武蔵御嶽神社です。創建は紀元前と伝わる古社で、天平8年(736年)に行基が修験道*の本尊でもある蔵王権現(ざおうごんげん)を祀り、霊山として信仰されるようになりました。中世以降、山岳信仰が盛んになり、栄えるに従い、修験の場として有力な武将たちの信仰も集め、鎧や甲冑などが奉納されました。
*修験道…日本古来の山岳信仰が仏教に取り入れられた日本独特の修行。山へ籠もり、悟りを得る厳しい修行。

平安時代から江戸時代にかけて奉納された武具(大鎧や太刀・刀、具足)は、境内の宝物殿に納められています。国宝の赤絲威鎧(あかいとおどしよろい)をはじめ、国指定文化財が多数展示され、見応え十分です。

〜西の護り、御岳参詣〜

戦乱の世に終わりを告げた江戸時代。徳川家康が関東に入国すると、それまで南向きだった社殿を「西の護り」として東向きに改修させました。それから400年以上、令和の時代も武蔵御嶽神社は東京の街を見守っています。

江戸中期になると庶民による「社寺詣」が盛んになるとともに、御師*の布教によって武蔵御嶽神社を信仰する「御岳講」が結成され、関東一円に広まりました。「講」とは、神社を信仰するために地域や集落が団結した組織のことで、毎年山開きの3月8日から5月にかけて、講の代表者数名が参詣し、その年の豊作や安全を祈願しています。この習わしは現在も続いています。
*御師…宿泊のお世話から、参詣者に代わって祝詞(のりと)を奏上するなど、神様と信者を繋ぐ役目を担う者

当時は参詣するだけでも大変なことでした。舗装されていない道に加え、ケーブルカーなんて当然ない時代。何日もかけて歩いて向かうため、神社周辺には参詣者のための宿泊施設「宿坊」が設けられました。「宿坊」は、御師と呼ばれる武蔵御嶽神社の神主が営んでいます。

御岳山 天空の宿坊 能保利(のぼり)
御岳山 天空の宿坊 能保利(のぼり)
〜江戸時代から受け継がれる宿坊〜

武蔵御嶽神社には現在、34人の御師がおり、ケーブルカー御岳山駅から神社へ向かう表参道周辺の尾根沿いには、江戸時代から代々受け継がれる24の宿坊が点在しています。標高929mながら下界と離れたその姿は「天空の集落」と言われ、茅葺屋根の建物に参道の商店街など、ノスタルジックな雰囲気に包まれています。

〜観光客も利用できる宿坊での過ごし方〜

参詣者のために用意された宿坊も、昭和になると民宿として一般観光客も受け入れるようになりました。いくつかの宿坊では瞑想や滝行など宿坊ならではの体験を行っています。夜は星空や夜景鑑賞、ムササビに出合えることも。夏なら昆虫採集、秋は鳴虫の女王・カンタンの心地いい鳴声に耳を傾けながら過ごすなど、自然をベースに宿坊ステイを楽しむことができます。また、御岳山の伝統文化に触れたい方は、「太々神楽(だいだいかぐら)」を見学するのはいかがでしょうか。6〜11月の毎月第4日曜の夜に「夜神楽」として武蔵御嶽神社の神楽殿で特別にご覧いただけます。この神楽は、神様に奉納する格式高い最高の参拝方法で、御師の世襲によって200年以上に渡り代々受け継がれています。日本書紀に基づく舞いなど13座が伝承されています。

宿坊でのお食事例
宿坊でのお食事例

宿坊グルメにも注目。鮎やヤマメ、イワナといった渓流魚の塩焼き、山菜やタケノコなど、山や畑で採れた地元の素材を使う、宿坊ごとに趣向を凝らしたヘルシーな料理の数々。なかでもこんにゃく芋を丁寧にすりおろして作る、自家製の刺身こんにゃくは、宿坊ごとの味を堪能できる御岳山名物。口のなかでとろける食感はクセになる美味しさです。

〜日帰り登山者向けの宿坊の楽しみ方〜

御岳山は日帰り登山が定番ということもあり、日帰り登山者向けにお風呂とランチがセットになったプランを用意したり、梅や柚子などフルーツを使った自家製サワージュースやおやきを提供したりするなど、宿坊ごとに独自のサービスを展開しています。

〜お犬様信仰で愛犬と参拝も〜

古くから盗難除け、魔除け、豊作の神として信仰されてきた武蔵御嶽神社には、数々の神様を祀るお社があります。そのひとつ「大口真神社」は、大口真神(山犬=ニホンオオカミ)が御祭神です。その昔、道に迷った日本武尊を白狼が助けたことに由来し、江戸時代から魔除け・盗難除けの神として信仰が広く知れわたりました。武蔵御嶽神社のある御岳山山頂へつづくケーブルカーには、ペットも乗車可能なことから、愛犬と一緒に参拝ができます。授与所では、ペットとお揃いのお守りも頒布されています。

登山と合わせて訪れたい、清流ガーデン澤乃井園

〜湧き水で仕込む地酒・澤乃井〜

御岳山周辺にはハイキングとセットで楽しめる観光スポットがたくさんあります。そのなかで特におすすめなのが、小澤酒造に併設する「清流ガーデン澤乃井園」です。

清流ガーデン澤乃井園
清流ガーデン澤乃井園
小澤酒造
小澤酒造

東京を代表する地酒「澤乃井」で知られる小澤酒造は、創業元禄15年(1702年)、300年以上の歴史をもつ酒造メーカーです。小澤家は武田信玄の家臣の末裔で、戦に敗れたのち、甲州からこの地に移り住んだ一族と言われています。当初は林業も営んでいて、山で水源を見つけたことから酒造りを始めたそうです。沢井村という地名は、湧き水が沢となって流れていることから付けられ、「澤乃井」もこの地名が由来となっています。ちなみにトレードマークのカニは、清流にのみ生息するサワガニなんですよ。

「澤乃井」を語るうえで欠かせないのが、仕込み水にふたつの湧き水を使っていること。ひとつは「蔵の井戸」と呼ばれる約180年前に掘られた岩盤から湧き出る横井戸。ミネラル分の多い中軟水は、天然の乳酸菌を使う昔ながらの醸造法「生酛造り(きもとづくり)」で仕込んだ3種類の日本酒で、もうひとつの「山の井戸」から湧き出る軟水は、そのほかの日本酒で使われています。

〜武蔵御嶽神社との繋がり〜

「酒造りは神事」とする小澤酒造の蔵の入口には大きな神棚があります。武蔵御嶽神社と醸造の守護神・松尾神社の御札を祀っていて、毎朝神様に一礼して酒造りが始まります。小澤酒造の酒造安全祈願祭では武蔵御嶽神社の神主が祈願をし、武蔵御嶽神社の御神酒や奉納酒としては小澤酒造の酒が奉納されるなど、古くから相互に繋がりがあります。

〜観光酒蔵のパイオニア〜

青梅街道沿いの蔵元から地下道をくぐると見えてくるのが「清流ガーデン澤乃井園」。多摩川のほとりに広がる、自然豊かな庭園で、お酒や酒まんじゅうなどを販売するショップと軽食処があり、ショップで購入したお酒と一緒に、湯葉そばやおでんなどを庭園で味わうことができます。きき酒処もあり、常時10種類のお酒を飲み比べできます。

今では定番となった、きき酒や食事処などを併設する“観光酒蔵”。その先駆けとなるのが小澤酒造です。御岳の自然を感じながら、酒蔵を見て地酒を味わってほしいとの想いで、昭和42年に「清流ガーデン澤乃井園」を開園。御岳山ハイキング後に訪れるマストスポットとしても定着しています。

舗装路を歩いて山頂を目指す初心者向けコースや、清流が流れる渓谷沿いの本格的なハイキングコースなど、多彩なコースをもつ御岳山。関東平野を一望できる眺望、季節ごとの変化に富んだ自然も満喫することができます。山岳信仰、そして江戸時代から受け継がれる武蔵御嶽神社を中心とした伝統文化を感じながら、ハイキングを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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